わたしは音楽ブログを運営しながら、女性ロックバンドの動向は時間を割いて追いかけているのですが、なかでも初めて名前を聞いたときに「面白い名前のバンドだな」とまず思ったのが、カネヨリマサルです。
カネヨリマサル。普通に読むと、おじさんの名前にしか見えません。実際、バンド名の由来も「カネヨリ(姓)マサル(名)」という、会社員やおじさんを思わせる人名から来ています。それが、大阪で「青春ロックを追い続ける」女性3人組のロックバンドの名前なのですから、最初に出会ったときの違和感の落差がそのまま記憶に残るバンドです。
ボーカル兼ギターのちとせみな、ベースのいしはらめい、ドラムのもりもとさなの3ピース。2014年に結成され、ライブハウスでの長い修行を経て、2023年にビクターエンタテインメント傘下のレーベルからメジャーデビューに到達しました。2024年9月には大阪城音楽堂でのワンマン公演をSOLD OUTさせ、2025年8月からは初のホールワンマンを含む全10公演のツアーを敢行しています。
今回はそんなカネヨリマサルの結成から、バンド名の由来、代表曲、ライブ実績、そして2026年現在の活動までを、音楽ブロガーとしてわたしが惹かれた箇所も含めて整理しておきます。
カネヨリマサルはどんな3人組?2014年大阪結成のガールズロックの始まり
カネヨリマサルは、2014年3月に大阪で結成された3ピースガールズロックバンドです(出典:Wikipedia「カネヨリマサル」・2026年5月確認)。
メンバーは、ボーカル兼ギターのちとせ みな、ベースのいしはら めい、ドラムのもりもと さなの3人。3人とも10代の頃に音楽を始めていて、結成当時はそれぞれが学生でした。大阪のライブハウスを拠点に活動を始め、いわゆる地方インディーズシーンを地道に勝ち上がっていった経歴を持っています。
わたしの見方を書くと、女性3ピースのロックバンドは2010年代以降、SCANDAL、赤い公園、リーガルリリー、ハルカミライ周辺のシーンも含めて、相当な激戦区になりました。そのなかで地方発、しかも大阪のライブハウス起点で約10年戦ってメジャーデビューに到達するというのは、決して簡単ではありません。インディー時代の修行で楽曲の地力をきっちり鍛えてからメジャーに上がっていく、というのは、長期戦に強いタイプの上がり方です。
2023年のメジャーデビュー以降、彼女たちはMini Album、シングル、ワンマン公演をコンスタントに重ねていて、いまや関西を代表する若手女性ロックバンドのひとつとして全国に名前を広げています。
ボーカルのちとせみなが書く歌詞には、20代の女性が感じる「肯定したいけれど肯定しきれない自分」「過去を抱えながら前に進むしかない感情」が、過剰な装飾なく綴られていて、ガールズロック特有の細やかさと、ロックバンドとしてのストレートさが両立しているのが、彼女たちの強みです。
カネヨリマサルのバンド名は?由来と青春ロックと会社員モチーフ
カネヨリマサルというバンド名について、本人たちは「おじさんや会社員をイメージした『カネヨリ(姓)マサル(名)』という人物名から取った」と説明しています(出典:ぷらちなノート「カネヨリマサルのメンバーは?」・2026年5月確認)。
ガールズロックバンドが、わざわざ「カネヨリマサル」というおじさん的な人名をバンド名に選ぶというのは、面白いです。本人たちのインタビューによれば、「自分たちが思いつきやすい人名にした」というニュアンスで語られていて、深刻な意味合いというよりも、ふらっと出てきたフレーズに引っ掛けて始めた、というのが実態のようです。
それでも結果的に、この名前はバンドの世界観と妙にかみ合いました。彼女たちのキャッチコピー「青春ロックを追い続ける」という言葉と、おじさん名前の組み合わせは、「過ぎ去った青春をいまでも追いかけているおじさん像」を勝手に想起させて、彼女たちの楽曲世界にどこか哀愁を足してくれます。
楽曲を聴いて気づくのは、彼女たちが歌う「青春」は、まだ青春の渦中にいる若い人のためのものというよりも、「青春をすでに過ぎたけれど、その記憶を残したまま生きている人」へ向けたものに聞こえる、ということです。これは「カネヨリマサル」というおじさん名前と、ガールズロックバンドという属性のあいだに生まれた、独自の温度差なのだと、わたしは感じています。
ネーミングって、結局はバンドの世界観を決めてしまう力を持っていると、わたしは音楽ブログを書きながら何度も実感してきました。カネヨリマサルは、その典型例のひとつです。
カネヨリマサルの代表曲は?昨日を生きない私達へとミニアルバム
カネヨリマサルの代表曲を語るうえで、まず触れたいのが2025年1月29日にリリースされた5枚目のMini Album「昨日を生きない私達へ」です(出典:Wikipedia「カネヨリマサル」・2026年5月確認)。
タイトルからすでに、ちとせみなの歌詞世界が出ています。「昨日を生きない私達へ」。過去にしがみつかず、今日と明日に意識を向けようとする決意のような、そして自分を励ますような言葉です。ロックバンドのアルバムタイトルとしては、相当に内省的かつ前向きな響きで、女性リスナーがエンドルームで一人で聴いたときに刺さるタイプの一行です。
代表曲としてライブで定番化しているナンバーは、「青春倶楽部」「あした世界が終わるとして」「春を待つ」など。タイトルからも分かるとおり、青春・終末・季節という、人生の節目を切り出すモチーフが多用されています。わたしが記事を書きながら通して聴いてみて感じたのは、彼女たちは「楽曲ごとに違うキャラクターを演じる」タイプのバンドではなく、「同じ感情の続編を、楽曲ごとに違う角度から繰り返し書いていく」タイプのバンドだということです。
サウンド面では、ちとせみなのコードストロークが楽曲の起点で、いしはらめいのベースラインが芯にあって、もりもとさなのドラムがそれを着実に押し出していく、王道のJ-ROCKフォーマットです。派手なテクニックや変則的なアレンジで勝負するというよりも、3人の演奏のシンプルな強さで聞き手の感情を持っていく、というアプローチが基本になっています。
ガールズロックの聴き手のなかでも、「歌詞の世界観で長く付き合いたい」という層には、カネヨリマサルはとてもよく刺さるはずです。
カネヨリマサルのホールワンマンの反響は?大阪城音楽堂と全国10公演ツアー
カネヨリマサルのライブ実績で大きいのが、2024年9月の大阪城音楽堂でのワンマンライブをSOLD OUTさせたことです(出典:Wikipedia「カネヨリマサル」・2026年5月確認)。
大阪城音楽堂は、大阪市内のなかでも特別な意味を持つ会場で、地元のバンドにとっては「ここで満員にできるかどうか」が一段上のステージに進む試金石になります。インディー時代から積み上げた地元ファンに加えて、メジャーデビュー後の新しい聴き手も呼び込めるかどうかが問われる場所で、彼女たちはそれをきっちり成功させました。
そして2025年8月からは、初のホールワンマン公演を含む全10公演のツアー「初ホールワンマンへの道標ツアー」を開催しています。ライブハウスを中心に活動してきたバンドにとって、ホールワンマンは音響的にも演出的にも別物の挑戦になります。客席との距離、PAの音圧、ステージ上での動き方、すべてがライブハウスとは違う設計を要求されるからです。
「初ホールワンマンへの道標ツアー」という名前そのものに、彼女たちのバンドとしての成長過程がそのまま現れています。何の前置きもなくホールワンマンに突入するのではなく、ツアーをかけて10公演分の熟成をしてからホールに向かうという、地に足の着いた進み方です。ライブの現場で勝ち上がってきたバンドが選ぶ、王道の手順だと感じます。
わたしが音楽ブログ運営者として注目しているのは、関西発の女性ロックバンドが、こうしたホール規模のツアーを単独で組めるところまで来ている、という現在地そのものです。SNSでバズって急に大きくなる、というルートではなく、ライブを積み上げて少しずつ会場のキャパシティを上げていく、というのは、長期的に強いバンドが必ず通る道です。
カネヨリマサルの現在は?2025年ツアーとビクター所属の今
2026年5月現在のカネヨリマサルは、ビクターエンタテインメント傘下のレーベルに所属しながら、ライブとレコーディングを並走させている状態です(出典:ビクターエンタテインメント「カネヨリマサル」プロフィール・2026年5月確認)。
2025年の「初ホールワンマンへの道標ツアー」を完走したあと、シングル・配信楽曲のリリース、フェスやイベントへの出演を継続しています。彼女たちの公式サイト「カネヨリマサルの青春倶楽部」も独自のドメインで運営されていて、レーベルに所属しながらも自分たちの世界観を保つ動き方が見えてきます。
メンバー3人それぞれのSNS発信や、ファンとの距離感の作り方も、いわゆる事務所主導のアイドル的なものではなく、バンドマンとして等身大の発信を続けているのが、彼女たちらしさです。
楽曲面では、Mini Album「昨日を生きない私達へ」のリリース後も、ライブで新曲を披露しつつ、次のフルアルバムに向けた動きを準備しているフェーズに見えます。わたしの見立てでは、2026年の後半から2027年にかけて、彼女たちの楽曲のスケールはもう一段上がるはずで、そのときにいよいよ「地方の有望株」から「全国区のロックバンド」に明確に切り替わるのではないかと感じています。
わたしのような音楽ブロガーが、こうした「メジャーデビュー後の上がり階段」を踏んでいるバンドを記事にする意味は、まさにこの2026年というタイミングを残しておけることです。カネヨリマサルがアリーナクラスの会場で青春ロックを鳴らす日、わたしはこの記事を読み返して、「2014年に大阪で結成された3人組が、こうして上がっていったのか」と書き足したいと思っています。
余談として、わたしは記事を書きながらカネヨリマサルの楽曲をひと通り聴き直してみたのですが、聴き終わったあとに「ああ、わたしの大学時代もこんな景色を見ていた気がする」と勝手に感傷に浸ってしまいました笑。ちとせみなの歌詞が、特定の年代の自分の記憶を勝手に引っ張り出してくるタイプだからです。リリース当時のSNSの反応を見ても、わたしと同じように「自分の高校時代や大学時代を歌われた気がする」というコメントが目立っていて、これは年齢を問わずに刺さる楽曲群なのだと改めて思いました(出典:カネヨリマサル公式X「昨日を生きない私達へ」関連投稿・2026年5月確認)。
特に「青春倶楽部」を初めて聴いたときは、なんとなくわたしの学生時代のサークルの記憶が引っ張り出されて、当時の友人たちの顔がじんわり浮かんできたのを覚えています。ガールズロックの楽曲としてオーソドックスな構成なのに、聴き手の人生のどこかに勝手にフックを引っかけてくる、というのが彼女たちの一番怖いところです。
わたしは新規メジャーデビューバンドを取り上げる音楽ブログ運営者として、カネヨリマサルのような「ライブでじわじわファンを増やしていくタイプ」のバンドに、いちばん長くファンが残ると感じています。彼女たちが将来、アリーナで「青春倶楽部」を鳴らす日のことを想像すると、それだけでちょっと胸が熱くなる笑。記事を書きながら、ファンの一人としても応援したくなるバンドでした。


コメント