私が大学生だった2000年代半ば、テレビで音楽番組をつけると、いつもどこかで「ココロオドル」が流れていた記憶があります。掃除のついでに鼻歌で口ずさめるくらい身体に染み込んでいて、当時の私にとっては、「すごく聞き込んだ曲」というよりも「無意識に毎日聞いていた曲」のひとつでした。歌っていたのが nobodyknows+ という名古屋の5人組ヒップホップグループだ、と当時はそこまで深く意識せずに耳に入れていたところもあります。
その nobodyknows+ が、2022年に突如として THE FIRST TAKE で「ココロオドル」を披露し、5000万再生を超える再ブレイクを起こしました。あの掃除のついでに流れていた曲が、20年近く経ってからもう一度、若い世代に届き直しているところを目撃したときは、ちょっとした感動がありました。
今日はその nobodyknows+ について、結成から代表曲「ココロオドル」、メンバーの脱退と現在、そして再ブレイクの背景までを、当時の同時代としても、今の音楽ブログ運営者としても、整理し直しておきます。
nobodyknows+はいつ結成?1999年名古屋発5人組ヒップホップの始まり
nobodyknows+(ノーバディノウズ)は、1999年に名古屋で結成された日本のヒップホップグループです(出典:Wikipedia「nobodyknows+」・2026年5月確認)。当時のJ-HIPHOPシーンは、首都圏のキック・ザ・カン・クルーやリップスライムなどが大きな存在感を持っていて、地方発のヒップホップグループがメジャーで戦うのは簡単ではない時代でした。
そんなシーンのなかで、nobodyknows+ は名古屋を拠点に活動を続け、2003年にメジャーデビュー。グループ名のとおり、「誰も知らない、けど確かに動いている」という名古屋のヒップホップシーンを背負いつつ、テレビ的にも口ずさみやすいポップ寄りのトラックを乗せていく、絶妙なバランスのグループでした。
メンバー構成は、トラックメイカーDJ MITSUを中心に、ラッパーが複数並ぶ多人数編成。ライブを観ると、ラップのバトン渡しのリズム感の良さと、5人がワイワイ並んで盛り上がる物理的な楽しさが両立していて、私の世代だとアウトドアのイベントで突然 nobodyknows+ がかかると、自然と身体が動いてしまう感覚がありました。
地元・名古屋を大切にし続けていることが、彼らの活動の背骨です。一気に首都圏に拠点を移すような派手な動き方をしなかったことが、結果として20年以上の継続活動につながったと、私はあとから振り返って感じています。
nobodyknows+の代表曲は?ココロオドルとSDガンダムフォースED
nobodyknows+ の代表曲は、もう言うまでもなく「ココロオドル」(2004年)です。テレビアニメ『SDガンダムフォース』の2代目エンディングテーマとして書き下ろされ、そこからオリコンチャートを駆け上がって、2004〜2005年の日本中の音楽番組で流れ続けた、まさにモンスターヒットでした(出典:Wikipedia「ココロオドル」・2026年5月確認)。
「日本中を踊らせないか」というスタッフ提案からスタートしたという制作裏話も、今となってはひとつの伝説です(出典:THE FIRST TIMES「ココロオドル」特集・2026年5月確認)。ガンダムシリーズのエンディングを担当することと、ヒップホップグループがJ-POPチャートで踊らせる曲を書くこと、その2つの軸がきっちり一致した楽曲だったと思います。
ヒット曲としてはほかにも、「Hero’s Come Back!!」(テレビアニメ『NARUTO -ナルト- 疾風伝』オープニング)が世界規模で広く知られています。海外のアニメファンにとっては、ナルトと言えば nobodyknows+ の声、というイメージが強い世代もいて、私が海外のYouTubeコメント欄を見ていると、いまだに「あの曲を歌ってる人たちはいまどこにいるのか」というコメントが付いていたりします。
私の世代の体感としては、「ココロオドル」は当時の小中高大学生にとっての共通のBGMでした。J-POPとヒップホップの真ん中に置かれた、誰でも口ずさめるけれど、ラップのキレもちゃんとある、絶妙な楽曲設計です。後年、カラオケで誰かが入れると、その場の全員が自然と一緒に歌い出すことになる、という曲は、長い人生のなかでもそんなに多くありません。
nobodyknows+のメンバーは?HIDDEN FISH他5人の脱退と現在
2026年5月時点での nobodyknows+ は5人体制で、メンバーは HIDDEN FISH、crystal boy、ヤス一番?、ノリ・ダ・ファンキーシビレサス、DJ MITSU です(出典:Wikipedia「nobodyknows+」・2026年5月確認)。
オリジナルメンバーのなかで動きがあったのは、g-ton(ジートン)でした。2007年に音楽性の違いを理由にグループを脱退し、2010年からはニューヨーク・ブルックリンに活動拠点を移しています(出典:音楽ナタリー インタビュー・2026年5月確認)。一時期は完全に音沙汰がなく、ファンの間では「g-ton はいまどこで何をしているのか」が一種の謎になっていました。
その g-ton が2022年6月の THE FIRST TAKE 出演で、グループのメンバーと並んで「ココロオドル」を再演します。これは衝撃でした。15年の空白を経て、ニューヨークから帰ってきた g-ton が日本のスタジオに座って、「ココロオドル」のあのリフレインを歌っている。映像を最初に見たときの私は、椅子の上で固まったまましばらく動けませんでした。
メンバーそれぞれの今を見ると、HIDDEN FISH や crystal boy はリリックの中核を担い続けていて、DJ MITSU はトラックの軸として変わらず存在感を発揮しています。地元名古屋でのライブを中心に据えつつ、必要なときに東京や全国に出てくる、というスタイルです。脱退者・休止者を抱えながらも、グループ自体を解散させずに動かし続けてきたことの価値が、いまになって大きく効いている、と私は感じます。
nobodyknows+のTHE FIRST TAKE出演の背景は?ココロオドル再ブレイク
nobodyknows+ にもう一度、世代を超えた光を当てたのが、2022年6月のYouTubeチャンネル THE FIRST TAKE への出演でした。一発撮りで「ココロオドル」を披露し、そこに脱退していた g-ton も合流するという、ファンには感涙ものの演出です(出典:YouTube「nobodyknows+ – ココロオドル / THE FIRST TAKE」・2026年5月確認)。
この動画はYouTube上で5000万回再生を超え、2026年5月時点でも国内のヒップホップ枠における THE FIRST TAKE 動画として象徴的な存在になっています。当時を知らなかった若い世代にも一気に拡散され、結果として「ココロオドル」はYouTube・TikTok・各種音楽配信サービスで再ブレイクしました。
そして3か月後の2022年9月、テレビ朝日系『ミュージックステーション』に nobodyknows+ が g-ton を伴って出演し、地上波でも「ココロオドル」を披露します(出典:Wikipedia「nobodyknows+」・2026年5月確認)。20代だった彼らが40代になって、ニューヨーク移住したメンバーまで連れて、Mステに帰ってきた。あの放送は、私の世代にとって本当に大きな出来事でした。
私はその放送をリアルタイムで観ていて、20年前にテレビで「ココロオドル」を聞いていた自分と、20年後にテレビで「ココロオドル」を聞いている自分とが、同じソファに並んで座っているような不思議な感覚がありました。再ブレイクという言葉以上の、人生の同時再生のような瞬間だったと思います。
「ココロオドル」という曲が、世代を超えて生き続けることを、メンバー自身が証明したかたちです。
nobodyknows+のメンバー現在は?NY移住と飲食店経営の今
nobodyknows+ のメンバーは、ヒットの後も多彩な活動を続けています。
まず、脱退した g-ton はニューヨーク・ブルックリンを拠点に音楽活動と生活を続けていて、彼自身のSNSやインタビューでもアメリカ東海岸のシーンと向き合っている様子が伝わってきます。15年離れていた人間が日本に帰ってきて、また日本のテレビでパフォーマンスをする、というのは、本人の体力的にも精神的にも大きな決断だったはずです。
現役の5人のなかでも、メンバーの一部は飲食店経営や、地方での農業に近い暮らしを並走させていて、グループ活動だけにすべてのリソースを割り当てていません(出典:あの人は今「nobodyknows+の現在」・2026年5月確認)。ステージの上だけで生きるアーティスト像から、地元に根を張りながら音楽もやる、というスタイルへと、彼らはとっくにシフトしていたわけです。
それでも、グループとしての nobodyknows+ は活動を続けています。THE FIRST TAKE 出演後にはアルバムリリースの動きやライブも継続していて、2026年に入ってからも全国のフェスやライブハウスでパフォーマンスを続けています(出典:nobodyknows+ 公式X・2026年5月確認)。再ブレイクは一過性のお祭りではなく、彼らの活動を長期戦に持ち込むためのきっかけだった、と捉えるのが正確です。
私のような大学生時代の同時代ファンとしては、nobodyknows+ が解散せずに残ってくれていたこと、g-ton が帰ってきたこと、若い世代に「ココロオドル」が再発見されたこと、この3つが揃っていることが、それだけで充分すぎるご褒美です。次にテレビで「ココロオドル」が流れる日も、たぶんそんなに遠くないと、私は信じています。


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