わたしはこのバンドの名前を、長らく「あうぇさむシティクラブ」と心の中で読んでいました。
正しくは「オーサムシティクラブ」と読むのですが、英語の発音をそのままカタカナに置き換える脳のクセで、何度直されても「あうぇさむ」が抜けない時期がありました。
Awesome City Club(オーサムシティクラブ)は、2013年に結成された男女ツインボーカルのシティポップバンドです。
映画『花束みたいな恋をした』のインスパイア・ソング「勿忘(わすれな)」で2021年に一気に知名度を広げ、2026年4月1日に10周年を区切りとして活動休止に入っています。
- Awesome City Clubの読み方は?「あうぇさむ」誤読しがちなオーサムシティクラブ
- Awesome City Clubのメンバーは?4人結成からPORIN加入と脱退の歴史
- Awesome City Clubの勿忘はどんな曲?花束みたいな恋をした5.2億再生のヒット
- Awesome City Clubの代表曲は?「夏の午後はコバルト」「またたき」「On Your Mark」のシティポップ世界観
- Awesome City Clubの活動休止は?2026年4月1日の決断とCheers to 10アルバム
- Awesome City Clubのオーサムシティクラブが残した10年とPORIN・atagi・モリシーの今
Awesome City Clubの読み方は?「あうぇさむ」誤読しがちなオーサムシティクラブ
Awesome City Clubの正しい読み方は「オーサムシティクラブ」です。
英語の「Awesome」は「素晴らしい」「最高の」という意味で、ネイティブ発音に近づけると「オーサム」が正解です。
(出典:Wikipedia「Awesome City Club」項目・2026年5月確認)
ところが、英語をローマ字読みする日本人脳のクセが発動すると、「あうぇさむ」と読んでしまう人が少なくありません。
わたしも初めてこのバンドの名前を見たときに、頭の中で「あうぇさむ」と読み、ファンに直されて「オーサムシティクラブ」が正解だと知った口です。
Aweを「アウェ」、someを「サム」とつなげて「アウェサム」と読みたくなる気持ちは、英語に苦手意識のある世代には共有できる読み間違いです。
バンド名の「Awesome City」については、初期メンバーのマツザカタクミが命名のコンセプトを語っています。
「Awesome City」とは、リスナー一人ひとりが頭の中で思い描く「理想の街」であり、Awesome City Clubはその架空の街のサウンドトラックを作るバンドだ、という発想で名付けられました。
(出典:CINRA「Awesome City Clubが語る、脱退・移籍をバネに大脱皮&飛翔」インタビュー記事・2026年5月確認)
わたしはこのコンセプトを知ったとき、バンド名の意味の深さに少し驚きました。
ただの英単語の組み合わせではなく、「リスナーごとに違う街」を音で描くという作家性が、結成時点でバンドのアイデンティティに織り込まれていたわけです。
名前から「あうぇさむ」と誤読してしまう恥ずかしさを取り除くと、その奥に思想が埋め込まれている、不思議な構造のバンド名でした。
Awesome City Clubのメンバーは?4人結成からPORIN加入と脱退の歴史
Awesome City Clubは2013年春に結成された日本のバンドです。
初期メンバーはatagi(ボーカル/ギター)、モリシー(ギター/シンセサイザー)、マツザカタクミ(ベース)、ユキエ(ドラム)の4人で、2013年8月17日に新代田FEVERで初ライブを行っています。
(出典:Wikipedia「Awesome City Club」項目・2026年5月確認)
メンバーが現在の中心人物のひとりであるPORIN(ボーカル/シンセサイザー/ピアノ)が正式加入したのは、結成翌年の2014年4月でした。
それまでサポートメンバーとしてライブに参加していたPORINが正式加入したことで、Awesome City Clubは男女ツインボーカルの5人編成として軌道に乗ります。
atagiの中性的な歌声とPORINの透明感のある声が二人で並走する楽曲構造は、ここから完成していきました。
その後バンドはメンバー脱退を経て、現在の3人体制に至ります。
2019年8月14日にマツザカタクミが脱退、2020年8月にユキエが脱退し、現在のAwesome City Clubはatagi・PORIN・モリシーの3人で活動するバンドとなりました。
脱退の理由については「音楽性の違い」のような明確な対立ではなく、それぞれのメンバーが個人としての活動や生活に重心を移したという、円満な範囲での卒業として伝えられています。
(出典:エイベックス・ポータル「Awesome City Clubを応援してくださる皆さまへ大切なお知らせ」記事・2026年5月確認)
わたしは脱退とメンバー変遷の歴史をたどると、Awesome City Clubが「7人編成のときの音」「5人編成のときの音」「3人編成のときの音」と段階的に音楽性を変えてきたバンドだとわかります。
人数が減るほどに音が研ぎ澄まされていく構造は、楽器を担当していたメンバーが抜けたぶん、残された3人が打ち込みや編曲で音を埋めていくという作業の蓄積でもありました。
脱退で痛みを抱えながらも、バンドとしては前進してきたグループです。
Awesome City Clubの勿忘はどんな曲?花束みたいな恋をした5.2億再生のヒット
Awesome City Clubを一気に世間に広めたのが、2021年1月27日にリリースされた「勿忘(わすれな)」です。
映画『花束みたいな恋をした』のインスパイア・ソングとして制作され、映画の世界観と楽曲の温度が完全に一致したことで爆発的に再生数を伸ばしました。
(出典:Wikipedia「勿忘」項目・2026年5月確認)
リリースから8ヶ月の時点で、ストリーミング累計再生数が2億回を突破。
2025年時点では5億2000万回を超え、関連動画も含めると10億回再生を突破していると報じられています。
さらに「2021 USEN HITランキング」で年間1位を獲得し、邦楽ヒット曲としては実物の経済規模としても歴史的な数字を残しました。
(出典:avex「Awesome City Club 勿忘 ニューアルバム『Grower』インタビュー」記事・2026年5月確認)
「勿忘」の歌詞は、過去の恋人との別れを描きながら、忘れたくないものを「勿忘草(わすれなぐさ)」という花の名前に重ねるという構造になっています。
切なさ・温度感・懐かしさが同時にひとつのメロディの中に存在しており、映画『花束みたいな恋をした』の主人公カップルの関係を追体験するような楽曲でした。
バンドメンバーは映画の完成版を観たうえで、自発的にインスパイア・ソングとして制作した経緯がインタビューで語られています。
わたしは「勿忘」を初めて聴いたときに、サビの一音目で「あ、これは長く聴かれる曲だ」と思った記憶があります。
派手な転調やドラマチックな展開ではなく、淡々とした温度のメロディが、聴き手の過去の記憶を勝手に呼び覚ましてくる構造で、この種の楽曲はリリースされた瞬間より、リリースから何年か経ったあとのほうが効いてくる。
2026年現在、5億再生という事実が、その予感を数字で裏付けています。
Awesome City Clubの代表曲は?「夏の午後はコバルト」「またたき」「On Your Mark」のシティポップ世界観
Awesome City Clubの楽曲は、男女ツインボーカルとシンセ・ギター・打ち込みを融合させた、現代的な日本のシティポップとして位置づけられています。
代表曲として挙げられるのは、「勿忘」のほかに「夏の午後はコバルト」「またたき」「On Your Mark」など、いずれも都会の風景や夜の質感を音楽で描いた一連のシリーズです。
(出典:ビクターエンタテインメント「Awesome City Club プロフィール」記事・2026年5月確認)
「夏の午後はコバルト」は、夏の午後特有の気だるさと光の粒子感を、PORINの透明感のあるボーカルで切り取った楽曲。
「またたき」は、夜の街並みのまたたく光に重ねて、誰かを思う心の揺らぎを歌った一曲です。
「On Your Mark」はバンドのキャリア初期からのライブ定番曲で、ダンス・ミュージック寄りのリズムにatagiとPORINの声が交互に絡む、Awesome City Clubの「動」の側面を代表する楽曲となっています。
楽曲全体に共通しているのは、都会の風景の「色」と「時間帯」を音で描こうとする姿勢です。
コバルト、またたき、夜、夏の午後、というキーワードが繰り返し出てくるのは偶然ではなく、Awesome City Clubが「Awesome City」という架空の街のサウンドトラックを作る、という結成時のコンセプトが、楽曲タイトルに直接反映されているからでもあります。
わたしはAwesome City Clubの楽曲を聴くと、自分が住んでいない都会の夜景を、勝手に脳内で映写してしまいます。
山形の住宅街で味噌汁を作りながら聴いていても、楽曲の中では東京のどこかの夏の夕方に立っているような気分になる。
これがバンドが目指してきた「リスナーごとの理想の街のサウンドトラック」の機能だとすれば、Awesome City Clubはバンド名の宿題をしっかり提出し続けてきたグループです。
Awesome City Clubの活動休止は?2026年4月1日の決断とCheers to 10アルバム
Awesome City Clubは、2026年4月1日付で音楽活動を一時休止することを発表しました。
2013年の結成から数えてデビュー10周年のイヤーを区切りとした決断で、解散ではなく「いずれ活動を再開する前提での休止」という形が取られています。
(出典:Awesome City Clubオフィシャルサイト「応援してくださる皆さまへ大切なお知らせ」記事・2026年5月確認)
休止の理由として、メンバーはそれぞれ個人としての音楽との向き合い方や学びの時間を確保したい、という主旨を語っています。
atagiは「個人として音楽に向き合う時間を確保したい」、モリシーは「ガス欠の車のように、バンドにも燃料が必要だ。今は補給のときだ」と発言しており、無理にバンドを動かし続けることよりも、3人それぞれが充電する期間を選んだ形です。
休止に向けて、バンドは2作のアルバムを送り出しました。
1つは2026年1月30日に配信リリースされたオリジナル・フルアルバム『Cheers to 10!!』で、約4年ぶりのフル作品。
収録曲は「群鳥(ぐんちょう)」を含む全10曲で、3人体制になってからのAwesome City Clubの音楽性を集大成した作品となっています。
もう1つは2026年4月1日にリリースされたベストアルバム『Awesome City Club BEST II』で、こちらは2020年以降の3人体制での楽曲を中心にまとめた、休止前のお別れ作です。
(出典:HMV&BOOKS online「Awesome City Club ベストアルバム『Awesome City Club BEST II』」記事・2026年5月確認)
ライブ面では、休止前の総決算として全国ツアー「Awesome Talks Live House Tour 2025-26」を開催し、2026年1月の仙台・大阪・名古屋・東京公演で締めくくっています。
ファンの間では「いつか戻ってくる」を信じて、ベストアルバムを聴き返す日々が始まりました。
わたしはAwesome City Clubの活動休止のニュースを見たときに、「解散」ではなく「休止」という選び方に、バンドの誠実さを感じました。
バンドを完全に終わらせることもできた中で、再開の可能性を残しながら3人それぞれが個人の時間を取る決定は、メンバー間の信頼関係の確かさをそのまま表しています。
ガス欠の車に燃料を入れる、というモリシーの言葉が、休止期間の意味をいちばんわかりやすく言い当てていました。
Awesome City Clubのオーサムシティクラブが残した10年とPORIN・atagi・モリシーの今
Awesome City Clubは2013年の結成から2026年4月の活動休止まで、約13年間にわたって日本の音楽シーンに「都会の夜景の音」を提供してきたバンドです。
4人で始まり、PORINの加入で5人になり、マツザカタクミとユキエの脱退を経て3人になり、その3人体制で「勿忘」という生涯ヒットを残しました。
代表曲「勿忘」の累計再生数5.2億回という数字は、邦楽の中でも歴史に残るレベルの実績です。
それを生み出したatagi・PORIN・モリシーの3人は、活動休止期間中もそれぞれの音楽活動を継続する方向で動くと発表されています。
バンドとしての再開時期は2026年5月時点で未定ですが、ファンとの関係を断つ「解散」ではなく、燃料を補給する「休止」を選んだ意味は、いずれ何かしらの形で結実するはずです。
わたしはAwesome City Clubの10年を振り返って、このバンドの最大の功績は「日本のシティポップを、海外のリバイバル文脈ではなく、現代の若いリスナーに直接届く形で更新した」ことだと思っています。
山下達郎や大瀧詠一の系譜のシティポップが、海外のヴェイパーウェイヴ経由で逆輸入されるのではなく、Awesome City Clubの楽曲は2010年代後半から2020年代の日本の若い世代の感覚で、新品のシティポップを作り続けてきました。
「Awesome City」という架空の街のサウンドトラックは、休止期間中も誰かの再生プレイリストの中で鳴り続けるはずです。
そしてオーサムシティクラブが活動を再開する日には、わたしも「あうぇさむ」と誤読していた過去ごと、もう一度ライブに足を運びたいと思っています。


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